遺産分割について②

遺産分割について②

最近の相続トラブルで見受けられる事例~財産の使い込み

 

最近は、相続トラブルの中でも、生前の財産管理が問題とされるケースが増えています。

具体的には、長男が財産管理をしていたが、相続手続の中で親の預金が思ったよりも少ない、長男に預金の履歴を出してくれと要望しても応じてもらえないので、次男が銀行で預金の明細を取得したところ、多額の現金が出金されていることが分かった、というようなケースです。出金した金額の使途が説明・証明できるならいいのですが、実際には使途が説明できないとか、証拠が残っていないという場合があります。弁護士が関わるようなケースですと説明を求めても応じてもらえない、なぜならお金を使い込んでしまっているからということが多いです。

 

使い込んでしまっている場合、不法行為あるいは不当利得という形で、その返還が請求できることになります。相続の場合には、使い込んだ金額を相続分で割った金額を各人が請求することになります。

 

具体的にどのような手続で請求していくことになるかというと、まずは遺産分割の協議野中で使い込みのお金も含めて話し合いをすることになります。遺産分割協議では話し合いがまとまらない場合は、遺産分割調停を起こし、そこで使い込みについても調停をすることになりますが、使い込みがあったことを前提にして、それを補填するような調停になれば別として、通常は使い込み分については別に民事訴訟で解決してくださいと言われることが多いです。ですので、遺産分割協議で使い込みについて話がまとまらなければ、民事訴訟を起こすと理解すればいいでしょう。

 

民事訴訟ではどのような争われ方をするのでしょうか。まず、請求する側(原告、先の例では次男)が、預貯金から多額の現金が出金されている、その預貯金を管理していたのが長男である、といったことを主張し、証明します。すると、長男側が、きちんと親のために使っている、使い道はこうだと主張、証明をします。使い込み事案の場合には、ここの証明ができませんから、証明ができなければ使い込みがあっただろうと認定されてしまいます。ここで大事なのは、本当は使い込んでないのに、証拠がなければ、使い込んだのだろうと認定されてしまうのです。長男が出金したという事実が証明されますと、長男側で親のために使ったと証明しない限りは、出金したお金は返還しなければならないという判決が下るのです。

 

使い込んでしまっている場合には、返せという判決が出ても当然のことなので仕方ありません。では、本当は使い込みではないのに返せと言われないためには、同意したらいいでしょうか。一つは、きちんと出金したお金とその使途を管理し、資料も残しておくことです。後日、このお金は何に使ったのだと言われても説明ができますし、証明もできます。もう一つは、成年後見制度を利用して財産管理等を権限のある第三者に任せてしまうことです。第三者が財産管理をしていれば、自分が責任を追及されることはありません。

 

逆に、お金の使い込みをされないためにはどうしたらいいかといいますと、先に説明した成年後見制度の利用が望ましいと思います。成年後見人は財産の管理権限がありますから、長男が使い込みをしているケースであれば、銀行に成年後見の届出をすることで、成年後見人でなければ出金ができないようにできます。第三者が成年後見人になれば当然のことながら成年後見人の報酬が発生することになりますが、多額の使い込みがされて遺産が何も残っていない、長男に責任追及しようにも長男自身も使い込んだ財産を残していないので、相続となったときには何も残っておらず回収できない、などということも十分にあり得ますから、成年後見人報酬が必要だからといって放置するよりはいいのではないでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました